


1.地球にはどのくらい資源があるのか
日本に暮らしていると、お金さえ払えば何でも購入できると思ってしまいます。スーパーに行けば、食料品は手にはいるし、ドゥー・イット・ユアセルフ(DIY)に行けば、たいがいの資材は購入できます。しかし、お米などの一部の食料品を除いて、国内で生産されている物はほとんどありません。食品の自給率は、40%ですし、とくに、エネルギー資源や鉱物資源となるとほとんどが輸入に頼っているのが実情です(エネルギー資源の自給率は4%(2003年度))。
ところで、鉱物資源はどのくらい地球上にあるのでしょうか。そして、各々の元素割合はどうなっているのでしょうか。地殻、マントル、核及び地球全体の元素組成(重量%)を表1に示します。鉱物資源の埋蔵量は、推定の仕方でまちまちなのですが、現在もっとも引用されている埋蔵量から計算した物が記載されています。私たちの住む大陸地殻のデータをみると、二酸化ケイ素が60.1%、酸化アルミニウムが16.1%、酸化鉄が6.7%、酸化カルシウムが6.5%の順になっています。そして、この大陸地殻のデータを体積%に換算し直すと、グラフ1のようになります。酸素が93.8%で、カリウムが1.7%、カルシウム1.4%、ナトリウムが1.3%と続きます。なんと酸素がほとんどで、その中にわずかの金属が混ざっているというのが、大陸地殻の構造のようです。海洋地殻もほぼ同じ構造で、ほとんどが酸素という構造になっています。
表1 地殻、マントル、核及び地球全体の元素粗製(重量%)
大陸地殻*1 |
海洋地殻*2 |
マントル*3 |
核*4 |
地球全体*5 |
||
SiO2 TiO2 Al2O3 FeO MgO MnO CaO Na2O K2O P2O5 Cr2O3 |
60.1 0.7 16.1 6.7 4.5 0.1 6.5 3.3 1.9 0.2 - |
49.5 1.5 16.0 10.5 7.7 - 11.3 2.8 0.2 - - |
45.1 0.2 3.3 8.0 38.1 0.2 3.1 0.4 0.0 - 0.4 |
O Fe Si Mg Ni S Ca Al Na Co その他 |
- 89.6 - - 5.4 - - - - 0.2 4.8 |
29.5 34.6 15.2 12.7 2.4 1.9 1.1 1.1 0.6 0.1 0.8 |
合計 |
100.1 |
99.5 |
98.8 |
100.0 |
100.0 |
*1 巽・高橋(1997) *2 Taylor and Mclennan(1985) *3 Ringwood(1979) *4 Zindler and Hart(1986) *5 Mason(1966)
基礎地球科学(朝倉書店)(2002)より引用

基礎地球科学(朝倉書店)(2002)より引用
地球全体の元素組成(重量%)では、鉄が34.6%と最も多く、次いで酸素29.5%と続きます。しかし、この鉄のほとんどが核という地球の中心部に存在していて、これを掘り出すことはまず不可能です。そうすると、酸素がほとんどで、金属元素が微量に含まれている大陸地殻と海洋地殻の鉱物資源しか、我々は使用できないことになります。
そもそも、宇宙では、水素が圧倒的に多く、その次に多いヘリウムと合わせると、二つの元素で99.9%を占めてしまいます。従って、地球のように、鉱物資源がわずかだが、使用できる範囲内で存在する星は、宇宙空間では、非常にめずらしいのです。
そして、言うまでもなく資源は有限です。現在のようなペースで鉱物資源を使用していくと一世紀も経たないうちに枯渇する資源が出てくる可能性があります。(採掘可能年数:銅46年、亜鉛55年、鉛24年、ニッケル40年など(「金属鉱物資源の安定供給」、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構))
2.鉱物資源は偏って分布している
鉱物資源に関しては、もう一つ問題があります。それは、均一に分布していないということです。例えば白金族(プラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム)は、南アフリカの埋蔵量のみで世界全体の埋蔵量のおよそ90%を占めます。これにロシアを加えると2国で約97%を占めてしまいます。ニッケルは、埋蔵量1位がオーストラリアで、37%を占めています。上位5カ国で約70%になります。同様に、マンガンは埋蔵量1位がウクライナで上位5カ国で約90%になります。このように、鉱物資源は一部の国に偏在していて、資源をもたない国々による資源確保が競争化され、鉱物資源の高騰をうみ、資源の安定確保が難しい状態になりつつあります。石油の高騰のみがクローズアップされますが、鉱物資源に関しても同様のことが言えるのです。
3.金属資源のリサイクル状況
鉱物資源が有限であること、また、その分布に偏りがあることなどをふまえると、金属資源のリサイクルは、今後必須となってきます。例えば、鉄の原料である鉱石は、ほとんどが輸入で賄われているため、国内には鉄スクラップが貯まっていきます。(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構の資料によると、国内の鉄蓄積量は、12億トンを越え、それにともなう鉄スクラップの年間発生量は、5000万トンを越えるレベルに達しています。2010年には6000万トンを越えると予想されています。鉄の場合、他の金属に比べ、リサイクル率は高く、約90%がリサイクルされているようです。鉄のリサイクルでは、鉄の中に銅などが混ざると鋼製品の品質が下がるため、鉄と銅とを分ける技術が求められています。
アルミニウムは、飲料用の缶が100%リサイクルされていますが、その他の用途でのリサイクルは、あまり進んでいないため、リサイクル率が約23%となっています。アルミニウムの用途で最も多いのが輸送用途で、自動車や電車などの軽量化として38.2%が使用されています。もちろん、トラックのアルミボディもこの中に入っています。この用途がきちんとリサイクルされない限り、アルミニウムのリサイクル率は上がってきません。
銅の場合、電線が100%リサイクルされていますが、他の用途が多岐に渡っているため、どの程度リサイクルされているかの詳しいデータがありません。家電リサイクル法が制定されており、対象となっている一部の製品(洗濯機、エアコン、テレビ、冷蔵庫)では回収が行われていますが、それ以外の多くの製品に関しても今後家電リサイクル法の対象とするべきだと(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構は述べています。
これら以外の金属資源に関しては、リサイクルがまだ浸透していないようです。例えば亜鉛は、93.8%が資源として輸入されているのですが、埋め立てされている量、およびリサイクルされている量が解っていません。
金属資源のリサイクルでは、分別回収がひとつの鍵となっています。金属原子同士を混ぜずにどうリサイクルできるかがポイントになってきます。そのためには、設計段階からの設定が不可欠だと言われています。人件費が過剰にかかってしまうとか、分別に大量のエネルギーを必要とするというのでは、リサイクル自体が成り立たなくなる可能性があります。資源枯渇を考慮すると、人件費分のアップはしかたがないかもしれませんが、大量のエネルギー投入は避けなければなりません。最近、日本では最新技術としてナノベースでの金属や樹脂を混合するとかコーティングする技術が開発されています。しかし、これらを実用化する時に、分別回収が容易にできるという項目が追加されなければその技術に欠陥があると判断されてしまう時代が近いうちにやってくるような気がします。
■ 参考となるホームページ
(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構
http://www.jogmec.go.jp/metal/index.html